
私にとって作品制作とは、自身の社会イメージを更新し続ける試みである。
福島県西会津町、山梨県甲州市、ドイツ・ミュンスターなど、複数の地域でフィールドワークを行い、様々な個人、コミュニティ、土地を題材にした映像インスタレーション作品を制作してきた。これらのプロセスを通じて、異なる他者の視点を横断する中で、私自身がそれまで抱いていた社会像が常に変容し続けてきた。また、未知の他者や地域に触れることで新たな発見を得るだけでなく、自分が生まれ育った東京やこれまで過ごした場所への認識もまた、これらの経験を通じて更新されていった。
そして、制作を続ける中で、異なる地域やコミュニティの間に、自身が予期しなかった結節点が生じる瞬間があることに気づいた。例えば、全く異なる場所で生活する人々へのインタビューをもとに作った作品が、なぜか共通する意味を持つように感じられることがある。また、制作過程で地域の人々に協力を得る中で、作品が異なる地域同士の人々を結びつけ、新たな関係性を構築する装置として機能することもある。
このように私の作品は、単に特定の社会を表象するものではなく、社会イメージそのものを生成する行為である。また、作品制作を通じて自身の社会観を変容させ、既存の社会の中に新たなつながりや関係性を発見していく実践でもある。そのために、過去の自身の作品を参照しながら、新たな作品と組み合わせてイメージを生成する手法を用いている。フィールドワークは作品制作の下準備として存在するのではなく、作品制作や発表と同様に、こうした変容のプロセスにおける重要な一段階として位置づけられる。
複数の地域社会との関わりを、芸術作品というフィルターを通じて表出し、それらを異なる土地で発表することで、新たな結節点や関係性を見出す。このサイクルを繰り返す中で、自身の社会イメージを再帰的に問い直し、更新し続けていくことを目指している。